九州商船の組合員が不当労働行為に晒されているという。

船員しんぶん5月25日号は、九州商船が海員組合との団体交渉に誠実に応じないばかりか、支配介入を行ったとして、長崎県労働委員会に不当労働行為救済申立を行ったことを報じた。

労使紛争の内容は、船員しんぶんの情報しか得られないが、これが事実だとすると、明らかな不当労働行為と認定されよう。

ところで、船員しんぶんが不当労働行為事件について、船員しんぶん一面に大きく取り上げるのは、協和海運問題以来ではないだろうか。

双方の事件に共通するのは、会社側の提案がかなり早い段階で行われていたのに、ギリギリになって労使紛争が顕在化している点だ。

九州商船は、昨年12月に組合に提案しながら誠実に団体交渉に応じなかったようだが、それが事実であれば労使関係を完全に否定する行為であり、早い段階でストライキを決行するなど、実力で会社提案を排除すべきではなかったのか。

日頃海員組合は、産別組織を謳い、組織力と資金力を誇っているが、組合員の有事にその力が発揮できなかったとすると組合員の期待に応えたとは言い難い。

今回の報道は、不当労働行為救済の申立てを行ったとするスタート段階であるが、ここまで大きく海員組合が報じる問題であれば、今後の経過は当然として、結果についても全国の組合員に知らせるべきであろう。

海員組合は今回の事件について、労働組合法第7条第2号の団体交渉権の拒否および誠実交渉義務違反ならびに第3号の支配介入に該当すると判断したとしている。

不当労働行為と言えば、海員組合も海員労組に対し、使用者の立場で不当労働行為を繰り返している。

残念ながら、海員組合は、この事実を組合員に知らせていないが、九州商船の組合員をはじめ関係者の知るところとなれば少なからず影響を及ぼすのではないかと危惧する。

不当労働行為を繰り返す労働組合が、不当労働行為救済申立てを行うということは想定外のことであるが、海員組合の場合は現実である。

違法行為や不当労働行為を繰り返す労働組合の不当労働行為救済申立てがどのような展開となるか、今後注視していきたい。

なお、本来一面を飾るものと思われた予備自衛官問題は、今号にも全く掲載されていない。

九州商船問題が発生したために掲載できなかったのか、それとも予備自衛官問題に触れたくないために九州商船問題を掲載したのか、この点は今後の船員しんぶんを見て判断したい。





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船員しんぶん4月15日号の一面は、公職選挙法の一部改正が今国会で成立したことが大きく報じられた。

その内容は、海員組合が政策要求として長年取り組んでいる洋上投票制度の拡充である。

船員の公民権行使の保障のため、洋上投票制度をはじめ改善すべきことは多々あり、引き続き運動を継続してもらいたい。

ところで、全国の組合員が今国会で注目していたのは、予備自衛官問題であったのではないだろうか。

海員組合は「断固反対」を掲げ、あらゆる運動を展開するとしていたはずだが、今国会においてどのような活動を行い、その結果や今後の取り組みについて明らかにすべきところ、船員しんぶんのどこを探してもそのような記述は見当たらない。

海員組合は、予備自衛官問題に白旗を上げたというのであろうか、それともZ旗は今も掲げられているのであろうか。

白旗を上げたとしても、その理由について組合員に説明する責任は免れない。

これまで、数々の訴訟で敗訴したことをひた隠し、不都合なことは組合員には知らせない姿勢を貫いている現指導部としては、いつものことと居直るつもりであろうか。

現場組合員代表である執行部員・職場委員は、この現状について何も感じないのであろうか。

それとも司直の手を借りなければどうにもならないと諦めているのであろうか。

執行部員や職場委員は、組合員のことを真剣に考え、これから進むべき道を決断すべきではないだろうか。





竹中正陽氏が海員組合を被告として争っている「竹中正陽氏の組合員資格確認・組合長選挙無効裁判」は、5月11日午前10時から東京地裁527号法廷で開かれる裁判で結審の予定だ。

1月15日に開かれた裁判では、竹中正陽氏側証人として、西村寿水(海員組合元執行部員)、藤田政男(清水ポートサービス船長)両氏、海員組合側証人として、大山浩邦(関東地方支部長)、鈴木順三(総務部長)両氏の証人尋問が行われ、2月19日には、竹中正陽氏本人と松浦満晴(副組合長)氏に対する尋問が行われた。

この裁判については、竹中正陽氏が発行責任者である「羅針盤」に詳細が報告されているが、その中で注目したのは、松浦満晴氏に対する裁判長の質問だ。

「羅針盤」によると、裁判長は、平成25年に長崎で開催された全国大会において行われた組合長選挙について、次のような質問を矢継ぎ早に行ったという。

なぜ一般組合員に知らせないで選挙を行ったのか、当日その場で選挙告示を行い、すぐ投票して構わないと規約の何処に書いてあるのか。

大内顧問が当選したとされるが、顧問は組合員なのか。それは規約の何条に書いてあるのか。私の見た限りでそのような条文は見当たらない。

仮に長崎大会の選挙が無効だとしたら、本来組合長でなかった人が告示した選挙で選ばれた現組合長の当選も、無効になるという考えもあるのではないか?

これらの質問に松浦満晴氏は回答に窮し、規約の条文を見つけることができなかったとのこと。

日頃は「組合長代行」を名乗り、海員組合のトップを自認する者とは思えぬ目と耳を覆いたくなる光景が目に浮かぶが、それよりも驚いたのは、裁判官の質問内容だ。

裁判長は、長崎大会で行われた組合長選挙の有効性に重大な疑問を呈していることだ。

長崎大会の前年(平成24年)に行われた全国大会において組合規約が改正され、それまで組合員としていた顧問を組合員から除外する改正を行っていた。

その翌年に行われた組合長選挙に、顧問である大内教正氏が立候補できたことが第一に理解できない。

裁判長は、大内教正氏の組合長選挙当選無効のみならず、現組合長である森田保己氏の当選無効にも言及していることも驚きである。

この裁判では、竹中正陽氏が組合長選挙に立候補したにもかかわらず排除されたことが問題となっているが、裁判所は長崎大会で行われた組合長選挙そのものに注目しているようだ。

これを裏付けるように裁判官は「組合長選挙が無効かどうかの判断は、難しい法律論になるので、次回から3人の裁判官の合議とします。」と宣言したという。

にわかに大内教正、森田保己両氏の組合長資格が否定される可能性が出てきたのである。

違法行為を繰り返し、不当労働行為を重ねても組合員に報告もせず、一方では恣意的な規約解釈で海員組合を牛耳ってきたが、この裁判では、遂にその命運が尽きることになるか大いに注目される。





4月11日、石川県労働委員会において、不誠実団交不当労働行為事件の第3回調査、第1回審問及び第4回調査が行われた。

この事件は、海員労組と海員組合との間で行われた、第2回団体交渉(平成27年4月10日)、第3回団体交渉(平成27年5月20日)、及び第4回団体交渉(平成27年7月29日)において、①再雇用職員規定と期末手当、②組合従業員規定の労働基準監督署への届出の二つの交渉事項について、海員組合の交渉態度が不誠実なものであったため、誠実に団体交渉に応じるよう求めたものである。

第3回調査は、午後1時から開始され、出席者の確認の後、前回以降、海員労組及び海員組合が提出した書証の確認が行われた。

海員組合側の出席者は、海員組合の顧問である大熊政一弁護士、堺充廣弁護士をはじめ4名の弁護士と勘場賢次総務局長、鈴木順三総務部長ほか1名の計7名であり、いつも通りの大所帯であった。

当方も、いつもの通りの組合長である北山が一人出席した。

第3回調査は、僅か5分で終了し、引き続き、この日のメインである第1回審問が行われた。

第1回審問では、海員組合の勘場賢次総務局長に対する証人尋問が行われ、海員組合側の主尋問が45分、海員労組側の反対尋問が60分、労働委員会の尋問が30分の予定でスタートした。

主尋問で勘場賢次総務局長は、海員組合が海員労組との団体交渉に誠実に応じているとして、暫定労働協約の締結に向けた交渉実績を強調するとともに、不当労働行為事件の対象となっている、①再雇用職員規定と期末手当、②組合従業員規定の労働基準監督署への届出についても、問題なく団体交渉を行ったことを述べ、海員労組側の交渉態度こそ問題があったと主張した。

私が勘場賢次総務局長に行った反対尋問では、海員組合が再雇用職員の期末手当を平成24年4月以降、一方的に不支給としたことについて、労働条件の大幅な不利益変更であるとともに、改定理由や改定手続についても問題があったことを指摘する尋問を行った。

②組合従業員規定の労働基準監督署への届出については、そもそも海員組合がこれまで一度も就業規則を労基署に届けていないという違法行為を続けてきたことについて、平成26年1月に行われた第1回団体交渉以降、繰り返し要求していたが、海員組合側が「検討中」を繰り返す不誠実な交渉態度であったことや、勘場賢次総務局長が提出した陳述書が実際の交渉内容と齟齬があることを追求した。

労働委員会からの尋問では、海員組合の意思決定の手続きや、中央執行委員会の議事録の有無と提出の可否、労働条件変更の従業員への周知方法などについて予定時間を超える熱心な尋問が行われた。

約15分の休憩の後、第4回調査が開催され、第2回審問に向けての証人の採否について、海員労組は田中伸一副組合長の採用を求めていたが、残念ながら、労働委員会の判断は不採用であった。

また申立人代表者である私に対する証人尋問は、田中伸一副組合長が採用されなかったことや、交渉内容が音声記録と共にその反訳文が証拠提出されていることから、事実関係についての争いは無いものと判断し、申立人側からは求めないことを労働委員会に申し出た。

労働委員会は、海員組合側にも確認し、海員組合側も必要ないと判断したため勘場賢次総務局長一人で証人尋問は終了することになった。

最後に労働委員会は、今回の証人尋問の詳細を記録した尋問調書の作成に2週間が見込まれること、それを想定した準備書面等の提出時期、和解手続きの方法について双方に説明し、午後3時40分閉会した。

次回以降の日程は次の通り。
第5回調査 5月10日(火)午後1時から
第6回調査 7月27日(水)午後1時から



2016.04.10 田中伸一氏
田中伸一氏は、全日本海員組合の副組合長である。

それと同時に、海員組合をして不当労働行為をはたらかしめた張本人でもある。

というのも、私たちが海員組合の従業員組合である海員労組を結成し、海員組合に対して団体交渉を申し入れた際(平成25年4月25日)、田中氏は、これに対して完全無視を決め込んだからである。

また、海員労組が東京都労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てると(平成25年5月14日)、要旨次の理由を挙げて、団交拒否の正当性を主張したのも同氏である。

①海員労組の結成目的は、海員組合を攻撃し、その地位や名声を低下させることにより、私怨を晴らすことにある。したがって、海員労組は労働組合法で保護される労働組合ではない

②海員労組には、使用者の利益代表者が参加している可能性があり、労働組合法で保護される労働組合ではない


海員労組は、①については、そのような目的で結成したのではない、②については、利益代表者は参加していない、とそれぞれ反論した。

両者の主張に対する都労委の判断は、次の通りであった(平成26年6月23日命令交付)。

(1)海員組合は、従業員組合については、結成目的が私怨を晴らすためであること、及び利益代表者の参加を許す疑いがあることから、直ちに団体交渉に応ずることができなかったと主張する。
(2)従業員組合は、暫定労働協約の締結及び阿部の再雇用契約の更新という義務的団体交渉事項について団体交渉を求めていることが明らかであるから、北山が海員組合に対し、複数の訴訟を提起し、長期間にわたり争訟を行っていることを理由に、従業員組合が申し入れた団体交渉を拒否する正当な理由とすることはできないというべきである。
(3)海員組合は、従業員組合が組合員4名のうち1名について氏名を明かしていないことから、利益代表者の参加を許し法適合組合でない疑いがあるとし、従業員組合にその疑いを解消しない限り団体交渉に応じないとしているものである。
 しかし、海員組合は、ある特定の管理監督者が従業員組合に参加していることを指摘し、そのことから利益代表者に当たると主張するのではなく、単にばくぜんと、組合員1名の氏名が明かされていないことを理由に利益代表者の参加を許す疑いがあるというにすぎない。また、利益代表者と疑われる者がいることによって、適正な団体交渉が実施できない特別な事情があることも明らかにせず、しかも、実際には、従業員組合には海員組合のいう利益代表者がいなかったのであるから、団体交渉を拒否する正当な理由があったとは到底いうことができない。
(4)以上のとおり、海員組合は、従業員組合が申し入れた団体交渉に当初は回答すらせず、本件申立て後も正当とはいえない理由を述べて応じなかったもので、このことは、正当な理由のない団体交渉の拒否に当たることは明らかである。


海員組合の上記主張(①および②)は、過去の労働委員会命令を見る限り、到底認められないような稚拙な理屈である。

少しでも労働法をかじったことのある方であれば、海員組合ともあろう労働組合が、本気でこのような主張をすること自体に驚かれるかもしれない。

しかし、これが海員組合の現状である。

海員組合は都労委の命令に異議を唱え、中央労働委員会に再審査を申し立てたが(平成26年6月26日)、中労委は、都労委と同様の理由を述べて、海員組合の申立てを棄却した(平成27年6月15日命令交付)。

ところで、海員組合は、都労委の強い説得にしぶしぶ応じる形で、当初の申入れから10か月余りが過ぎた時点で初めて団体交渉に応じたのだが(平成26年1月28日)、この第1回の団体交渉に全権大使としてやってきたのが田中氏であった。

すなわち、田中氏は、海員組合の「組合長代行」として、海員労組との交渉に当たったのである。

しかしながら、田中氏は、団体交渉の席上で、労働組合の幹部とは思えぬ不適切な発言を連発し、我々を大いに驚かせた。

以下は、中労委命令の一節である。

本件団体交渉申入れの交渉議題である暫定労働協約の締結について、田中は、「いつ頃要求されたのですか」等と北山に確認するなど、海員組合は団体交渉を行うにあたって十分な準備を行っていなかったことが窺われる。
田中は、北山に対して、「様々なことに今もって疑念を持っている状況に変わりはない」、「都労委からの助言もあったので団体交渉の席を設けた」と述べた。また、田中は、北山が団体交渉開催まで2か月近く要した理由を問うたところ、「開催が遅れたのは海員組合の業務が大変輻輳していたため」等と述べたが、その状況についての説明はなく、交渉委員の出席名簿の開示の必要性を否定した。さらに、今後の団体交渉について、従業員組合が東京都と石川県の交互開催、団体交渉申入れから7日以内の開催を提案したのに対し、海員組合は本部近郊での開催を繰り返し主張し、団体交渉申入れから7日以内の団体交渉開催についても難色を示している。
さらに、田中は従業員組合や北山に対して、「今日も北山さんは相当な不信感をもって、今日は喧嘩腰で話されている」、「法適合組合かというのは、極めて疑問、疑念を持っている」等と発言するなど、従業員組合との円滑な団体交渉による正常な労使関係の構築を目指しているとはいえない状況であった。
このように、海員組合は、第1回団体交渉実施に向け十分な準備をしなかったうえ、団体交渉当日には、様々なことに疑念があるが 都労委の助言もあったので団体交渉の席を設けた旨発言し、留保を付して交渉に応じたと受け取られる態度を示しており、今後の交渉日時や交渉担当者の設定についても、従業員組合の要求や提案に対する回答の根拠やその理由を具体的に説明しなかったのみならず、従業員組合との円滑な団体交渉関係を目指しているとはいいがたい強い不信感がうかがえる発言をしているものといえる。
以上のとおり、第1回団体交渉に至る経緯及び当日の交渉の状況を合わせ考慮すると、海員組合は、従業員組合との間の団体交渉に留保なく誠実に応じているとはいえない状況にあるうえ、今後の団体交渉関係の構築にきわめて消極的な姿勢にあるといわざるを得ないものである。


都労委や中労委で海員組合の不当労働行為が認定されたことに関しては、田中氏の上記発言が、文字通り決定打となった。

田中氏は、組合を代表して、不当労働行為を完遂したといっても過言ではない。

その後、田中氏は臆してしまったのか、海員労組が求めているにもかかわらず、一度も団体交渉に出て来ないし、裁判所や労働委員会で証言することについても、これを拒み続けている。

証言台には、身代わりとして、松浦満晴副組合長や勘場賢次中央執行委員を送り込んでいるが、彼らの証言はおしなべて要領を得ず、海員組合としての意思決定の過程が不明確なままである。

田中氏は、周りに押し付けるのではなく、自ら正々堂々と証言することにより、副組合長としての責任を果たすべきではないだろうか。

上記の中労委の審査の最中には、海員組合からは、さらにげんなりさせられるような次の主張が出てきた。

海員組合にとって、いわば労働組合内の労働組合である海員労組から団体交渉を申し入れられるのは、史上初めての経験であった

このように、自らも労働組合である海員組合にとって、自らが雇用する従業員がいわば労働組合内の労働組合を結成し、団体交渉を申し込んでくるということは初めての経験であり、海員組合における利益代表者の範囲についてもこれまで検討したことすらなかった

このような事情から、再審査申立人は、利益代表者の範囲等についての検討にある程度の時間を要したのであって、初審命令はこの点を見落としている


おそらくは、これも田中氏が本気で考えた結果出てきた反駁なのだろう。

私はこれを読んだとき、恥ずかしさのあまり思わず赤面してしまったことを思い出す。

海員組合は、ここまで恥も外聞もなくなってしまったのかと。

中労委命令では、この主張の当否については、検討すらされていない。

論じる価値もないと判断されたのか、もしくは中労委がかけた武士の情けであろうと私は理解している。